飯米衛 記憶のグルメ

旨いものを求めて、ふらりふらりと

地酒めぐりの愉しみ

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まるで吉田類さんの著書のようなタイトル、ちなみに吉田さんはもともと画家で、高知生まれ、パリで活動して、今はライター・イラストレーターとして全国の酒場を放浪するという、まさに酒好きが憧れる生き方をしておられる。

 

私はそれほど酒は強くないし、深い知識があるわけではない。でも、テレビで酒関係の番組をやっているとつい録画してしまうし、いろいろな地域に行ってその地酒や焼酎を飲むと、やはりそれなりに「酒が好き」な自分に気づく。

 

行けるチャンスがあれば必ず、その地域のスーパーや酒店などに寄って、どんな酒があるかをチェック。居酒屋に行ければベスト。全国的に知られている日本酒やプレミアがつくような焼酎を置いている店で、他の店ほどプレミアをつけずに売っている店、提供している店は、だいたいその地域の地酒も大切に扱っていることが多い。特に「純米吟醸」や「大吟醸」の地酒が冷蔵庫に入っている店はかなり信用できる。

 

ちなみにお酒の選び方、飲み方については、自分の中でいくつかルールを持っている。面倒くさいルールかもしれないが、

 

・なるべくその地域の名物・定番の料理や食材も確認しておく
・基本は単独では飲まない(食事と一緒か、「あて」と共に)
・日本酒はできるだけ「純米」系を選ぶ
本醸造など「醸造アルコール」が入っているお酒は基本的に燗で
・ビール系については「発泡酒」「新ジャンル」は飲まない
・焼酎やウイスキーを飲むときにも「あて」を意識する
・ワインは美味しくても、変な酔い方をしたら次回は避ける
※例によって個人の感想です

 

など。「強くない」のには理由があって、なぜか「醸造アルコール」が入ったお酒や「発泡酒」を飲むと、ほぼ確実に悪酔いするから。ただ、「酒精強化ワイン」(シェリー酒やポートワインなど)に関してはわりと大丈夫だったので例外にしている。

 

だいたい自分の体質や経験上の話だけど、この中で一番重要にしているのが一番上の「なるべくその地域の名物・定番の料理や食材も確認しておく」という項目。例えば東北・北陸の雪解けの味がするような酒には日本海の荒波で育った脂の多い魚。内陸や山深いところで造られた酒にはきっと山菜の天ぷらや煮物が合うだろうな…と思って外れたことはほとんどない。

 

もちろんワインもそう。ものすごくざっくり分けるとフランスワインにはチーズやバター、イタリアワインにはオリーブオイル、アルゼンチンワインには牛肉、といった具合。数年前にスペインに行った時に、シェリー酒と「イカ」の相性がこんなにいいのかと驚いた思い出がある。

 

 

飯米衛 うまかった日本酒・焼酎

 

日本酒 (主に特別純米純米吟醸

豊盃(青森)

田酒(青森)

雪の茅舎 (秋田)

出羽鶴 (秋田)

東北泉 (山形)

羽前白梅 (山形)

澤の泉 (宮城)

伯楽星 (宮城)

飛露喜 (福島)

麒麟山 (新潟)

緑川 (新潟)

能登誉 (石川)

早瀬浦 (福井)

鏡山 (埼玉)

神舞 (三重)※

池月 (島根)

東洋美人(山口)

かほり鶴(山口)

しらぎく (高知)

寿喜心 (愛媛)

庭のうぐいす(福岡)

鍋島(佐賀)

 

※「神舞」は元坂酒造が製造の限定ラベルだそうです

 

これはほんの一部で、全体的には東北~北陸の日本海側に好みの酒が集中してしまっている。脂の乗った魚が好きだからというのもあるけど、やはり最初に覚えた日本酒が秋田や新潟の酒だったのが大きい。一番衝撃を受けたのは新潟で飲んだ「純米吟醸の燗酒」。もし地酒が少ない都市部のスーパーで日本酒を買うとしたら、秋田、山形、新潟の1,000円~2,000円くらいの特別純米純米吟醸の酒を買えばほぼ間違いない。米やそばの産地は酒も美味しい。もちろん「十四代(山形)」「久保田(新潟)」「獺祭(山口)」もとても美味しいが、ここは「出会った」喜び優先で。

 

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麒麟純米吟醸 "純辛" 

 

焼酎

特蒸泰明 (麦・大分)

無一物 (麦・長崎)

あさぎりの花 (米・熊本)

武者返し (米・熊本)

千本桜 (芋・宮崎)

六代目百合 (芋・鹿児島)

 

本格焼酎も大好きで、麦・米・芋から特に印象に残っている焼酎を2銘柄ずつ。どちらかというとガツンとした「常圧蒸留」「黒麴」が好みだが、「減圧蒸留」「白麹」も華やかな気持ちになれる。

 

評判の酒をネットで取り寄せるのもいいけど、その地域でいただいた酒に感動した、という思い出を大切にしたい。以前、関口知宏さんが鉄道の旅番組で「”絶景”はその前後で出会いがあったからこそ、その風景が”絶景”になる」というようなことを言っていたが本当にそう思う。そして食や酒との出会いもまた「絶景」である。某バラエティー番組のコーナー「美食・絶景遺産」というフレーズが頭をよぎってしまったが、このタイトルは素晴らしいネーミングだと思う。

 

※リンク先はそれぞれの酒造、組合、またはポータルサイトです。