飯米衛 記憶のグルメ

旨いものを求めて、ふらりふらりと

ラーメンを語ってみる (その2)

f:id:hambeigourmet:20200914144519j:plain

前の記事で「ラーメン」についてやや斜めに持論を書いてしまったが、やはり歴史を少しは復習しておかなければと思い、調べてみたら「新横浜ラーメン博物館」のホームページが出てきた。

 

筆者はかなり前に1度だけ「ラー博」に行ったことがある。ちょうどその年、しばらく海外(ヨーロッパ)にいて「ラーメン切れ」だった(現地の中華レストランでは美味しい汁麺には出会わなかった)ので、帰国した翌週に横浜での楽器イベントに行くのに合わせて、「せっかくならラーメン博物館に行ってみよう」と新横浜まで足をのばして「みそラーメン」を食べに行った。どうやら滞在中お世話になった人(来日歴あり)からしょっちゅう「ミソラーメン、ミソラーメン」と聞かされていたのが刷り込まれていたようだ。

 

ラーメン博物館で味噌ラーメン、確か当時は「すみれ」が出店していて、熱々のスープを上顎を軽くヤケドしながら飲み干した覚えがある。残念ながら「ラー博」からは2018年に二度目の「卒業」、入れ替わりの激しい「ラー博」に10年間+6年間も出店していたのだからすごい。

 

ちょっと話がそれるが、「すみれ」はセブンイレブンの高級ライン「セブンプレミアムゴールド」でカップ麺発売20年になるそうだ。「セブンプレミアムゴールド」といえば、同じ時期から売られている「一風堂」は筆者が学生時代から首都圏の駅前への出店数が多く、何度か足を運んでいた。ただそんなに外食ばかりというわけにはいかず(このころから基本750円、うっかりトッピングすると1000円を超えるラーメン店も増えていた)、コンビニやスーパーでカップ麺に手を伸ばしていた。さすがに「店名ラベル」のカップ麺やインスタント麺が店の味と同一であるとは思わないが、家にいながらにして、ご当地気分を味わえる。きっとラーメンのどんぶりは全国につながっている。実際に現地の店で食べていればそれこそ「記憶のグルメ」になるだろう。

 

ちなみに、筆者は今もカップ麺は大好きだ。ただ、紙の器、発砲スチロール(耐熱PSP)の容器は非常食としては素晴らしい技術であるが、個人的には袋麺かチルド麺を買って陶器のどんぶりで食べる派。実際にフード系のイベントでPSPの容器に入ったラーメンを食べると「あれ?」と思った経験も。したがって最近の自宅ストックはすっかり袋麺シフトが進んでいる。麺だけ別茹でにして(表示時間より短め)スープ(一緒にゆでる場合の2~3割少ないお湯)にあわせるとかなりラーメン感が増す。あ、そういえば「すみれのチルド麺」をまだ買っていなかった…。

 

「基準店」より「地元民が集まる店」

 

「ラー博」に行ったり「インスタント麺」に行ったり、ややまとまりのない構成になっているが、「ご当地ラーメン」を知るには、それぞれの地域発で全国展開しているか、または、ある特定のスタイルの有名店である「基準店」を確認した上で、それらを一旦「外して」探すことにしている。

 

「基準店」とは、具体的にどの店とは書かないが、「札幌」「喜多方」「佐野」「横浜」「京都」「博多」といえば、好みに関わらず、代名詞的に思い浮かぶ店という解釈。もちろん筆者にとって、その「基準店」の中には大好きな店もあるし、ぜひ本店に行きたい店もたくさんあるのだが、なぜ「外して」しまうかというのに関しては、前回の「行列店には入らない」という逆説的理由と微妙にリンクしている。

 

・本店が観光地化してしまい、地元民からはむしろ敬遠されている
・わざわざ本店まで食べに行かずとも、わりと近所に支店がある
・美味しい支店は多いが、”コピーされただけの味”にも感じることがある
・居心地があまり良くなかったり、店員の態度もやや悪目立ちしがち

 

 

実は出張先で現地在住の2~3人に「(有名店の)○○はどうですか?」と聞くと「う~ん…」という返事が来ることがけっこう多い。おすすめの店を聞いて「社会的認知度が高い店」の名前を聞くことは案外少ない。これもラーメンの好みが千差万別である所以なのか。

 

もしかしたら、全国展開して知名度を上げ、「基準店」となった店は、最初は地元で評判を集めた店でも、全国的に支持を広げていくうちに「平均化」してしまうのかもしれない…と感じるようにもなった。規模が大きくなればなるほど、幅広い支持を集めて売り上げを伸ばさなければならないし、工場生産になったりもする。本店から(距離だけでなく)遠くなるほど、スタッフの意識など環境に「温度差」も生まれる。マイナス要素が1度でも出れば途端に「風評」が拡散してしまう。

 

これは決して「基準店」をディスりたいのではなく、もちろん基本はどの店も美味しいという前提での話。ただ有名店の宿命としてアンチも生まれやすく、ラーメンファンから「がっかりした」「○○より△△の方が美味しい」「評判とは聞くけど実際は…」と言われるほど、「基準店」=標的になりうるということ。

 

ということは、もし「ご当地」でラーメンを味わうなら、「すでに知られている有名店」よりも、「現在その座を目指しています」または「そんなの関係ないけど長年地元の方に親しんでいただいてます」くらいが、もしかしたらいい出会いになって、幸せになる確率が高いのではないか…と考えている。やはり斜めなラーメン観なのかな。

 

飯米衛 美味かったラーメン店(関東以外)

※リンク先は公式サイトまたは筆者が訪れた店、本店以外も含みます 

福岡

ShinShin  (タイトル写真)

ひるとよる

おかもと

ラーメン一

暖暮

博多一幸舎

 

f:id:hambeigourmet:20200914112618j:plain
f:id:hambeigourmet:20200914144651j:plain
f:id:hambeigourmet:20200914144631j:plain
ひるとよる 焼きラーメン(ソース)→ラーメン もつちゃんぽん

あまり臭みがない「とんこつラーメン」が好みなのでこのラインナップ。「ひるとよる」にはまず「よる」に行き、替え玉でなく焼きラーメンからのラーメンをオーダーし、翌日の「ひる」には「ちゃんぽん」まで食べに行ったので、さすがに店長(ShinShin出身らしい)から声をかけられた。また、福岡でラーメンというと「バリカタ」基準で考えがちだが、「おかもと」で食べた柔らかい麺とスープの組み合わせにはやられた。

 

京都

極鶏

天天有 ※本場では未食

天下一品 ※本場では未食

 

f:id:hambeigourmet:20200914113208j:plain

極鶏 鶏だく(大盛)

 

前の記事で「天一の本店に行きたい」と書いたが、京都の同じエリア(一乗寺・北白川)はまさにラーメン激戦区。「極鶏(ごっけい)」の濃度にはびっくりしたし、「天天有」は東京で食べてやはり本店に行きたいと思った店。次回京都に行った時に「天下一品 総本店」にたどりつけるかどうかは自信がない(というか…実は自宅の近所にも2店舗くらいある)。また「新福菜館」には行ったことがないが、その流れをくむといわれる「末廣ラーメン」は好きなのでかなり気になる存在。

 

愛知(名古屋)

一番軒 ※本場では未食

本郷亭

味仙

f:id:hambeigourmet:20200914113321j:plain

 

名古屋は「名古屋めし」に行ってしまうことが多いが、とんこつラーメンの店が多い印象。地元チェーンぽい雰囲気もあってむしろ好き。福岡に本店があるあの有名店たちがこぞって出店しているのも納得。また「台湾ラーメン」を生んだ「味仙」はどんぶりが小さめというのが特徴。これも台湾の「担仔麺(タンツー麺)」をルーツにしているからなのか、屋台文化に思いをはせてみる。

 

山形(庄内)

三日月軒

大来軒

馬場

 

f:id:hambeigourmet:20200914115346j:plain

馬場 にく煮干中華(大盛) 

 

青森(津軽

たかはし

中みそ

いわき食堂

f:id:hambeigourmet:20200914115822j:plain

いわき食堂

 

東北地方には、東京では少なくなってしまった古き良き「中華そば」がたくさん残っている。山形は「日本そば」だけでなくラーメン王国、庄内地方の酒田ラーメンには伝説の食堂といわれる「港月食堂」「大来軒」(ともに本店は閉店)からの系譜があるらしい。メニューに酒田ラーメンの象徴ともいえる「ワンタンメン」があるとうれしくなる。青森は濃厚みそラーメンや今流行の濃厚煮干しラーメンのメッカ、でも同じ煮干しでも昔ながらの澄み切った醤油の中華そばの味がまた素晴らしい。

 

北海道

三代目 月見軒

よし乃

羅妃焚

えびそば一幻

 

f:id:hambeigourmet:20200914112502j:plain

一幻 あじわい えびみそ(大盛)

f:id:hambeigourmet:20200914115945j:plain

外観がまたあじわい深い総本店(開店30分前)

 

北海道に行くとどうしても「味噌」ベースで考えてしまう。15年近く前に初めて現地で連れて行ってもらったご当地チェーンの「羅妃焚(ラピタ)」で食べた味噌ラーメンの感動が今も残っていて、その影を追っている部分があるのかも。「よし乃」は旭川の本店には行っていないが「さっぽろテレビ塔」の地下で出会う。「えびそば一幻」はかなりとんがっていて、北海道2店舗、東京2店舗、福岡1店舗、台湾2店舗、香港3店舗というのもかなりとんがった出店ぶり。

 

 

他にも全国うまい店はたくさんあったのだが、特に「ご当地感」の高い店を中心にセレクトした。東京周辺や現在自分が住んでいる地域以外でラーメン屋に足を運んだ回数がダントツで多いのは札幌と福岡。やはり現地の人おすすめの店、連れて行ってもらった店はほぼ100%美味しく、何より前後の話題が盛り上がる。自分で調べて行くと2回に1回美味しいラーメンに出会えたらラッキーなくらいで、ツアーで一緒のメンバーで行ってアタリだとやはり盛り上がるがハズレだとけっこう気まずくなる…ラーメン選びはむずかしい。

 

 

「お取り寄せ」という選択肢

 

今回も、この記事に掲載しているお店の一部には公式サイトから「お店そのままの味」をお取り寄せができるものがあります。2020年はどの店も大変な状況ながら、通販を強化したお店も。好きな名店の味、みなさんの思い出の味で、ぜひ明日への活力に!

 

ShinShin

hakatashin.shop15.makeshop.jp0

 

おかもと

yataiokamoto.com

 

博多一幸舎

ikkousha.net

 

 

極鶏

gokkei.shopselect.net

 

味仙

www.misen.ne.jp

 

三代目 月見軒

www.tsukimiken.com

 

えびそば一幻

www.ebisoba.com