飯米衛 記憶のグルメ

旨いものを求めて、ふらりふらりと

魅惑のハモン

私は世界各国の料理が好きだ。その土地の(「○○風」などのインスパイア系も含む)味を通して、行ったことがなくてもその国や地域の文化を追体験したり、ちょっと旅行した気分になることができる。

 

初めて行った海外は学生時代の休みに一人旅で行ったスペイン。多少スペイン語の単語は覚えたつもりでも実際に行くとやっぱり違う(あたりまえか)。レストランでメニュー見せられても初めて見る単語だらけで、くじ引きのような気分で注文していたような気がする。

 

幸い自分が訪れた多くのバルではカウンターの上やガラスケースの中に料理や食材が置かれていた(日本の居酒屋でもしばしばそういう光景があって、その店の「推し」を知ることができる)。また幸運なことに旨いタパス(小皿料理)にも出会い、一口食べて感動、それまでの孤独からいきなり「スペインへようこそ!」と盛大に迎えられたような感覚になった。

 

大げさだけど、今思えば「ご当地グルメ」の偉大さを初めて知った瞬間かもしれない。当時はまだ学生で日本国内あちこち行っていたわけではないし、地元の郷土料理の意識もあまり持っていなかったので、この体験は本当に大きかったと思う。

 

それ以来すっかりスペイン料理が好きになって、東京や今住んでいる近所のスペインバルにもよく行ったし、家でも時々スペインオムレツやアヒージョを作ったりしている。

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自家製スペインオムレツ Tortilla Española (casera) 

 

ところでスペイン料理の特徴はざっくり4つ

 

・素材をしっかり生かす

・オリーブオイルやにんにくを惜しまない

・ピメントンを使う

・ハモンがある

 

最初の2点はイタリアなどオリーブオイルを使う国の料理全般にいえることだが、大きいのは3つ目の「ピメントン」という存在。スモークしたパプリカのパウダーで、チョリソーなどの色の元になっていて、魚介料理の仕上げなどにも使われており独特の風味がある。この香りはちょっと好みが分かれると思うが、これがあると一気にスペインの味になる。

 

そして4番目の「ハモン」。今は日本のほぼ全域にスペインバル(本格派からインスパイア系まで含む)があるが、そんな中、お店選びの際に個人的にもっとも重要視しているのが「おいしいハモンがあるかどうか」というもの。

 

ハモンとは、スペインの生ハムのこと。大きく分けて「ハモン・セラーノ」「ハモン・イベリコ」の2種類があって、そもそも豚の種類が異なる。「ハモン・セラーノ」は改良種の白豚、「ハモン・イベリコ」はご存知イベリコ豚の生ハムである。

 

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 ハモン・セラーノグラナダのマリスカル)

 

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ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ(ハブーゴのシンコホタス)

 

写真は5年ほど前に久しぶりに行ったスペインでのもの。上の写真のハモン・セラーノは柔らかな口当たりでそのまま食べるのはもちろん、料理のアクセントとしても最適。グラナダハモン・セラーノの一大産地(トレベレスなどが有名)で、ハモンメーカー「マリスカル」直営のバルでの絶品ハモン・セラーノ

 

といいつつハモン・イベリコも食べたくなり、セビージャ(セビリア)にあったハモンメーカー直営?のバルでの写真(下)。セビージャからほど近いウエルバのハブーゴ村の生ハムといえば超有名ブランドで、その代表格の1つ「シンコホタス」はやっぱり最高だった。

 

スペインの市場やスーパーでは原木(脚一本)がそのままぶら下がっていて、見分け方はシンプル、蹄(ひづめ)の色が黒ければ黒豚であるイベリコ、それ以外はセラーノとなる。イタリアのプロシュットなどは蹄を見せる必要がないので(自分の知る範囲では)カットされていることが多い。

 

ちなみにハモンは後脚から作られていて、前脚はやや小ぶりで「パレタ」と呼ばれている。スペインではかなり小さなバルでもハモンが原木まるごとスタンドに置かれていて、日本で例えるなら町の小さな寿司屋のカウンターに解体ショー直後のマグロが置いてあるくらいの存在感である(※筆者のイメージです)。

 

またハモン=高級なイメージもあるが、実は値段もさまざまで、スーパーに普通にベーコンブロックみたいな形で「Jamon curado ハモン・クラード(ハモン・セラーノより手に入れやすい価格帯)」というタイプも売られていて、普通に料理の食材として使われている。部位は異なるがそれこそベーコンだったり、イタリア料理で使うパンチェッタ的な存在かもしれない。

 

スペインから戻ってすぐネットで「ハモン」を調べようとしたとき、フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』に、ハモン・セラーノについての記述があったが、「プロシュット・ディ・パルマ金華豚と並んで世界三大ハムのひとつ)」と書かれているくらいで、「イベリコ」についての記述は存在していなかった。なのでつい、「ハモン・イベリコ」の項目を作ってしまった。唯一自分でWikipediaに書き込んだのがハモンについて。その後いつの間にかいろいろな人が加筆したり写真を掲載されていてすっかり充実したページになった。(写真などちょっと違う部分はあるけど他の人の編集についてはノーコメント)

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

20年ほど前、デパ地下のスペインフェアで真空パックの薄切りハモンを見つけて喜んでいたら店員のお姉さんが「ようやく入るようになったんですよ~」と言っていたのを覚えているが、今やネットでハモン・セラーノやハモン・イベリコを原木まるごとポチっと買える時代になってしまった。実はスペインで一時期住んでいた頃に一度まるごとハモン・イベリコ・デ・ベジョータを(今の日本の相場の2~3割くらいの価格で)買ってしまったことがあるが、さすがに食べきれなかったのでご利用は計画的に。今でも年に数回、ウニ、カニ、うなぎを食べたくなるくらいの周期で「ハモン」の誘惑がやってくる。そろそろ食べたくなったので今回はここまで。

 

追伸:

1年以上前に書いておいて「ラーメンの後にしよう」と思っていたらすっかり載せそびれてしまった記事が出てきたのでちょっと加筆して掲載しました。

ラーメンを語ってみる (その2)

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前の記事で「ラーメン」についてやや斜めに持論を書いてしまったが、やはり歴史を少しは復習しておかなければと思い、調べてみたら「新横浜ラーメン博物館」のホームページが出てきた。

 

筆者はかなり前に1度だけ「ラー博」に行ったことがある。ちょうどその年、しばらく海外(ヨーロッパ)にいて「ラーメン切れ」だった(現地の中華レストランでは美味しい汁麺には出会わなかった)ので、帰国した翌週に横浜での楽器イベントに行くのに合わせて、「せっかくならラーメン博物館に行ってみよう」と新横浜まで足をのばして「みそラーメン」を食べに行った。どうやら滞在中お世話になった人(来日歴あり)からしょっちゅう「ミソラーメン、ミソラーメン」と聞かされていたのが刷り込まれていたようだ。

 

ラーメン博物館で味噌ラーメン、確か当時は「すみれ」が出店していて、熱々のスープを上顎を軽くヤケドしながら飲み干した覚えがある。残念ながら「ラー博」からは2018年に二度目の「卒業」、入れ替わりの激しい「ラー博」に10年間+6年間も出店していたのだからすごい。

 

ちょっと話がそれるが、「すみれ」はセブンイレブンの高級ライン「セブンプレミアムゴールド」でカップ麺発売20年になるそうだ。「セブンプレミアムゴールド」といえば、同じ時期から売られている「一風堂」は筆者が学生時代から首都圏の駅前への出店数が多く、何度か足を運んでいた。ただそんなに外食ばかりというわけにはいかず(このころから基本750円、うっかりトッピングすると1000円を超えるラーメン店も増えていた)、コンビニやスーパーでカップ麺に手を伸ばしていた。さすがに「店名ラベル」のカップ麺やインスタント麺が店の味と同一であるとは思わないが、家にいながらにして、ご当地気分を味わえる。きっとラーメンのどんぶりは全国につながっている。実際に現地の店で食べていればそれこそ「記憶のグルメ」になるだろう。

 

ちなみに、筆者は今もカップ麺は大好きだ。ただ、紙の器、発砲スチロール(耐熱PSP)の容器は非常食としては素晴らしい技術であるが、個人的には袋麺かチルド麺を買って陶器のどんぶりで食べる派。実際にフード系のイベントでPSPの容器に入ったラーメンを食べると「あれ?」と思った経験も。したがって最近の自宅ストックはすっかり袋麺シフトが進んでいる。麺だけ別茹でにして(表示時間より短め)スープ(一緒にゆでる場合の2~3割少ないお湯)にあわせるとかなりラーメン感が増す。あ、そういえば「すみれのチルド麺」をまだ買っていなかった…。

 

「基準店」より「地元民が集まる店」

 

「ラー博」に行ったり「インスタント麺」に行ったり、ややまとまりのない構成になっているが、「ご当地ラーメン」を知るには、それぞれの地域発で全国展開しているか、または、ある特定のスタイルの有名店である「基準店」を確認した上で、それらを一旦「外して」探すことにしている。

 

「基準店」とは、具体的にどの店とは書かないが、「札幌」「喜多方」「佐野」「横浜」「京都」「博多」といえば、好みに関わらず、代名詞的に思い浮かぶ店という解釈。もちろん筆者にとって、その「基準店」の中には大好きな店もあるし、ぜひ本店に行きたい店もたくさんあるのだが、なぜ「外して」しまうかというのに関しては、前回の「行列店には入らない」という逆説的理由と微妙にリンクしている。

 

・本店が観光地化してしまい、地元民からはむしろ敬遠されている
・わざわざ本店まで食べに行かずとも、わりと近所に支店がある
・美味しい支店は多いが、”コピーされただけの味”にも感じることがある
・居心地があまり良くなかったり、店員の態度もやや悪目立ちしがち

 

 

実は出張先で現地在住の2~3人に「(有名店の)○○はどうですか?」と聞くと「う~ん…」という返事が来ることがけっこう多い。おすすめの店を聞いて「社会的認知度が高い店」の名前を聞くことは案外少ない。これもラーメンの好みが千差万別である所以なのか。

 

もしかしたら、全国展開して知名度を上げ、「基準店」となった店は、最初は地元で評判を集めた店でも、全国的に支持を広げていくうちに「平均化」してしまうのかもしれない…と感じるようにもなった。規模が大きくなればなるほど、幅広い支持を集めて売り上げを伸ばさなければならないし、工場生産になったりもする。本店から(距離だけでなく)遠くなるほど、スタッフの意識など環境に「温度差」も生まれる。マイナス要素が1度でも出れば途端に「風評」が拡散してしまう。

 

これは決して「基準店」をディスりたいのではなく、もちろん基本はどの店も美味しいという前提での話。ただ有名店の宿命としてアンチも生まれやすく、ラーメンファンから「がっかりした」「○○より△△の方が美味しい」「評判とは聞くけど実際は…」と言われるほど、「基準店」=標的になりうるということ。

 

ということは、もし「ご当地」でラーメンを味わうなら、「すでに知られている有名店」よりも、「現在その座を目指しています」または「そんなの関係ないけど長年地元の方に親しんでいただいてます」くらいが、もしかしたらいい出会いになって、幸せになる確率が高いのではないか…と考えている。やはり斜めなラーメン観なのかな。

 

飯米衛 美味かったラーメン店(関東以外)

※リンク先は公式サイトまたは筆者が訪れた店、本店以外も含みます 

福岡

ShinShin  (タイトル写真)

ひるとよる

おかもと

ラーメン一

暖暮

博多一幸舎

 

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ひるとよる 焼きラーメン(ソース)→ラーメン もつちゃんぽん

あまり臭みがない「とんこつラーメン」が好みなのでこのラインナップ。「ひるとよる」にはまず「よる」に行き、替え玉でなく焼きラーメンからのラーメンをオーダーし、翌日の「ひる」には「ちゃんぽん」まで食べに行ったので、さすがに店長(ShinShin出身らしい)から声をかけられた。また、福岡でラーメンというと「バリカタ」基準で考えがちだが、「おかもと」で食べた柔らかい麺とスープの組み合わせにはやられた。

 

京都

極鶏

天天有 ※本場では未食

天下一品 ※本場では未食

 

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極鶏 鶏だく(大盛)

 

前の記事で「天一の本店に行きたい」と書いたが、京都の同じエリア(一乗寺・北白川)はまさにラーメン激戦区。「極鶏(ごっけい)」の濃度にはびっくりしたし、「天天有」は東京で食べてやはり本店に行きたいと思った店。次回京都に行った時に「天下一品 総本店」にたどりつけるかどうかは自信がない(というか…実は自宅の近所にも2店舗くらいある)。また「新福菜館」には行ったことがないが、その流れをくむといわれる「末廣ラーメン」は好きなのでかなり気になる存在。

 

愛知(名古屋)

一番軒 ※本場では未食

本郷亭

味仙

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名古屋は「名古屋めし」に行ってしまうことが多いが、とんこつラーメンの店が多い印象。地元チェーンぽい雰囲気もあってむしろ好き。福岡に本店があるあの有名店たちがこぞって出店しているのも納得。また「台湾ラーメン」を生んだ「味仙」はどんぶりが小さめというのが特徴。これも台湾の「担仔麺(タンツー麺)」をルーツにしているからなのか、屋台文化に思いをはせてみる。

 

山形(庄内)

三日月軒

大来軒

馬場

 

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馬場 にく煮干中華(大盛) 

 

青森(津軽

たかはし

中みそ

いわき食堂

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いわき食堂

 

東北地方には、東京では少なくなってしまった古き良き「中華そば」がたくさん残っている。山形は「日本そば」だけでなくラーメン王国、庄内地方の酒田ラーメンには伝説の食堂といわれる「港月食堂」「大来軒」(ともに本店は閉店)からの系譜があるらしい。メニューに酒田ラーメンの象徴ともいえる「ワンタンメン」があるとうれしくなる。青森は濃厚みそラーメンや今流行の濃厚煮干しラーメンのメッカ、でも同じ煮干しでも昔ながらの澄み切った醤油の中華そばの味がまた素晴らしい。

 

北海道

三代目 月見軒

よし乃

羅妃焚

えびそば一幻

 

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一幻 あじわい えびみそ(大盛)

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外観がまたあじわい深い総本店(開店30分前)

 

北海道に行くとどうしても「味噌」ベースで考えてしまう。15年近く前に初めて現地で連れて行ってもらったご当地チェーンの「羅妃焚(ラピタ)」で食べた味噌ラーメンの感動が今も残っていて、その影を追っている部分があるのかも。「よし乃」は旭川の本店には行っていないが「さっぽろテレビ塔」の地下で出会う。「えびそば一幻」はかなりとんがっていて、北海道2店舗、東京2店舗、福岡1店舗、台湾2店舗、香港3店舗というのもかなりとんがった出店ぶり。

 

 

他にも全国うまい店はたくさんあったのだが、特に「ご当地感」の高い店を中心にセレクトした。東京周辺や現在自分が住んでいる地域以外でラーメン屋に足を運んだ回数がダントツで多いのは札幌と福岡。やはり現地の人おすすめの店、連れて行ってもらった店はほぼ100%美味しく、何より前後の話題が盛り上がる。自分で調べて行くと2回に1回美味しいラーメンに出会えたらラッキーなくらいで、ツアーで一緒のメンバーで行ってアタリだとやはり盛り上がるがハズレだとけっこう気まずくなる…ラーメン選びはむずかしい。

 

 

「お取り寄せ」という選択肢

 

今回も、この記事に掲載しているお店の一部には公式サイトから「お店そのままの味」をお取り寄せができるものがあります。2020年はどの店も大変な状況ながら、通販を強化したお店も。好きな名店の味、みなさんの思い出の味で、ぜひ明日への活力に!

 

ShinShin

hakatashin.shop15.makeshop.jp0

 

おかもと

yataiokamoto.com

 

博多一幸舎

ikkousha.net

 

 

極鶏

gokkei.shopselect.net

 

味仙

www.misen.ne.jp

 

三代目 月見軒

www.tsukimiken.com

 

えびそば一幻

www.ebisoba.com

 

 

ラーメンを語ってみる(その1)

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ミュージシャンである筆者が「飯米衛 記憶のグルメ」(はんべえ)を始める際、この5年ほどスマホに保存してある料理の写真を何度か確認してみた。この半年間(2020年3月~8月)はほとんど外食をせず、仕事など経済的な事情もあったので、撮ったのはひたすら家の料理写真。実は自分で料理をするのは好きで、特に最近はそれなりに腕も上がってきてしまったと実感。間違いなく楽器を弾いている時間より台所にいる時間の方が長い。

 

さて、家での料理写真については、まだまだ盛り付けの点など勉強中なのでおいおい載せるとして、このブログは「駅そば」や「駅うどん」の記事からスタートしたが、2019年までの写真をよくよく見たら、「ラーメンの写真」だらけであることに今さらながら気づいた。そしてラーメンの写真が多い時期は、少し後の日付に写っている集合写真の自分のサイズが明らかに比例して大きくなっている。

 

日本の「国民食」と言われて久しいラーメン。これが「日本食」として海外に「Ramen」として紹介されるのはちょっと微妙な気もするが、今日の「ラーメン」という存在はまぎれもなく日本で確立されて、人々(特に男たち)の生活スタイルに根付いている。そして、「ラーメン」という同じ響きにもかかわらず、これほど人によって好みが異なり、地域によって味やスタイルの印象が違う料理というのも珍しい。まるで「ギター」という楽器がこれほどポピュラーなのに人によってイメージや好みが千差万別すぎて共通認識がないのと同じである、というのは言い過ぎだろうか。

 

では筆者のラーメンの好みは、というと正直言って分からない。スマホに入っている写真は全体的には最近主流の濁ったスープ(豚骨や鶏白湯、グレーの煮干しなど)の画が目立つが、いわゆる「町中華」の澄みきった醤油や塩のスープの奥深さに感動もするし、あくまで基準は「ジャンル」ではなく「店」にある。

 

ひとつ気づいたのは、写真がきれいにとれた「映える」画のラーメンであっても、2~3割は写真を見てもその味が思い出せないという件について。酔っぱらった勢いで〆に走った日の可能性もあるが、前後の写真からランチタイムのもある。失礼ながら、好みに合わない店の記憶は無意識のうちに消去してしまっているようだ。その前に食べて感動したラーメンの味にうっかり「上書き保存」しないようにしているのかもしれない。

 

ところでその日に入る店を選ぶ際の基準は、筆者の場合、ひとつだけである。それは多くのラーメン愛好家や評論家は書かないことだと思う。

 

基本的に「行列店」には入らない

 

あまりにも逆説的と思うかもしれないが、それには理由があるというか、筆者の事情でどうしてもメリットよりもデメリットの方が多くなってしまう。

 

・行列店は客もスタッフも殺気立っていることがある

・待ちが長時間になるほど、座った時に後ろに並んでいる人たちの圧を強く感じる

・だいたい荷物が多い (よく楽器を持っている) ので迷惑になる

・スペースの都合で荷物を座席と離れたところに置くと最後まで落ち着かない

・待った甲斐があるほどには美味しくない場合が多い

・そして次の予定に遅れがち

 

そもそもスーツケースと楽器を持ってラーメンを食べに行く方がどうかしているが…お店の方、お隣の方にはいつも配慮いただきすみません…

 

その店に食べに行くために軽装(または車)ではるばる来て行列ができている場合、他に選択肢がない場合は待つこともあるが、基本的に行列ができてたら「また今度」とその場をあとにする。ひいきの店だったらむしろうれしいし、また新しい店に出会うチャンスと思うようにしている。

 

 

飯米衛 うまかったラーメン (関東編)

「美味かったラーメン店」を書くのはけっこうハードルが高い。好きな店=繁盛店とは限らないし、「行列店」や「食○○グ」で3.5以上の赤星表示の人気店で食べても「ん?」となった経験が何度あったことか。それぞれの好みもあるので個人的には簡単に他人におすすめしにくいジャンルでもある。

 

※関東で実際に訪れて記憶に残したいラーメン店の一覧です。本店が比較的近いエリアの系列店もあり、ちゃんぽん、刀削麺の店も含みます。リンクは公式サイト>グルメサイトで貼っています。

 

神奈川


横浜 つけ麺や 武双

鶴見 赤レンガ

新丸子 㐂輪

神奈川といえば「家系」豚骨醤油、太い縮れ麺にチャーシューとほうれん草が乗ったパワフルなラーメンだが、なかなかチャンスに恵まれずけっこう都内の店で食べることが多かった。神奈川県内で印象に残っているのは新丸子の「㐂輪」。

 

東京

町田 町田商店

祖師ケ谷大蔵 香氣

南池袋 浮浪雲

東池袋 花田

東池袋 揚州商人

大塚 ぼたん

鬼子母神前 木菟

三越前 なな蓮

神田 春樹

神田 わいず

神田 西安刀削麺酒楼

曙橋 角久

新宿 秀山

新宿 鈴蘭

渋谷 Renge no gotoku(旧:亜寿加)

渋谷 桜ん坊

渋谷 はしばやん

中目黒 AFURI  (タイトル写真の店)

銀座 はしご

四ツ谷 こうや&徒歩徒歩亭 (姉妹店)

四谷三丁目 一心ラーメン

西日暮里 いっとく

蒲田

羽田空港第1ターミナル 天鳳

中野 青葉

高円寺 太陽

荻窪 マツマル

吉祥寺 海神

吉祥寺

吉祥寺 野方ホープ

調布 十番156

調布 たけちゃん

桜上水 水城屋  (旧:京水)

明大前 春日亭

落合南長崎 山藤家

錦糸町 タンメンしゃきしゃき

 

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東京で移動の合間に、リハの前後に行ったラーメン店は数知れず。味も多岐にわたり、とても1つにはしぼれないが、リストの中で最初に再訪したいのは新宿に本店がある魚介塩ラーメンの「海神」。初めて食べた日は確か体調が良くなかったが、その分旨さがしみた。今度は調子のいい時に訪れたい。有名店はあえて本店ではない方が入りやすい場合が多い。個人的におすすめのエリアは平日の吉祥寺と週末の神田。

 

埼玉

大宮 一禾

大宮 多万里

大宮 煮干丸

東川口 喜楽々

東川口 はっぱ 88

春日部 焔 ほむら

春日部 ブラウン

加須 くりの木

久喜 極・煮干し本舗

久喜 頑者 ※圏央道菖蒲PA

 

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写真は、大宮の東口側に来た時は必ず食べに行った「一禾」(いちか)の濃厚煮干し中華そば。埼玉では「鶏白湯」か「煮干し魚介」ばかり食べている記憶がある。やはり白岡の「もちもちの木」の成功と、首都圏各地にある多くの「鶏そば」の元になっていると噂される春日部「ブラウン」の存在を感じる。

 

栃木

佐野 くにや

佐野 広来軒

佐野 亀嘉

下野 ふたば

宇都宮 栃木軒

宇都宮 キャロル

宇都宮 麺中中

宇都宮 ねぎっこ

西那須たかよし

 

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栃木に来たらどうしても佐野ラーメンを中心に考えてしまう。ただ本場佐野で人気の店はほとんどが昼のみの営業なので仕事帰りに行くのは大変。写真は宇都宮の「栃木軒」で、平打ち麺と澄んだ醤油のスープは東日本のご当地ラーメンのはしりである喜多方ラーメンと通じるものがある。

 

茨城

つくば ゆうきや

つくば がんこや かるがん

下館 里の蔵

水戸 蘭丸

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茨城は個性的なラーメンが多い印象。学生の多いつくば市水戸市はきっと激戦区。茨城では味噌ラーメンをいただくことが多い。写真は水戸「蘭丸」の白味噌ラーメン、これに納豆がどっさり入る「水戸納豆ラーメン」もある。

 

番外編1:関東に支店のあるラーメン店(本店またはプロデュース

高円寺・神田  天下一品(京都)

赤羽・品川  TOKYO豚骨BASE (Made by 一風堂

大宮 みずさわ(新潟・長岡)

 

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たまにすごく食べたくなるのは天下一品の「こってり」。いつかは京都白川の本店に行ってみたい。首都圏の支店にはいろいろ行ったが、特に印象に残るのは高円寺店と神田店。またJR駅構内で一風堂プロデュースの豚骨ラーメンが食べられるので移動の時は助かっている(いずれもちょっと割高)

 

番外編2:残念ながら閉店

大船 和丸

読売ランド前 来々軒

池袋 梅もと

東高円寺 ビアビア

大井町 天天有(本店は京都)

大宮 一番軒(本店は名古屋)

 

リンクを確認していて、美味しかった店がなくなってしまったのを知るのはやはりショックで寂しい。好きな店の営業がなんとか続いていてくれますように…。リストに群馬と千葉がないのは、単純にラーメン屋に行ったことがほとんどないからで、これからの「出会い」に期待。

 

ちなみにラーメン屋も含め、紹介している店は、ほぼ自分が仕事で行ったエリアと重なるので、演奏仲間や知人がちょっと読んだら筆者が誰かはすぐに特定されてしまうだろう。紹介してもらった店、連れて行ってもらった店も載っているので、あらためて感謝!

 

美味かった店なら、誰とどのタイミングで行ったか、1人で行ったならどういう店の雰囲気だったか。前後の出来事と合わせて「絶景」として鮮明に思い出すことができる。そして今一度、「記憶のグルメ」として味わえるんだ、とあらためて思う。

 

「お取り寄せ」という選択肢

 

この記事に掲載しているお店の一部には公式サイトまたは「宅麺.com」で「お店そのままの味」をお取り寄せができるものがあります。好きな名店の味、みなさんの思い出の味で、ぜひ明日への活力に!

 

公式サイト

天下一品

www.tenkaippin.co.jp

 

揚州商人xlb.me

 

春日亭

www.kasugatei.com

 

宅麺.com

 

花田

www.takumen.com

 

頑者ラーメン

www.takumen.com

 

 

宅麺 

 

地酒めぐりの愉しみ

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まるで吉田類さんの著書のようなタイトル、ちなみに吉田さんはもともと画家で、高知生まれ、パリで活動して、今はライター・イラストレーターとして全国の酒場を放浪するという、まさに酒好きが憧れる生き方をしておられる。

 

私はそれほど酒は強くないし、深い知識があるわけではない。でも、テレビで酒関係の番組をやっているとつい録画してしまうし、いろいろな地域に行ってその地酒や焼酎を飲むと、やはりそれなりに「酒が好き」な自分に気づく。

 

行けるチャンスがあれば必ず、その地域のスーパーや酒店などに寄って、どんな酒があるかをチェック。居酒屋に行ければベスト。全国的に知られている日本酒やプレミアがつくような焼酎を置いている店で、他の店ほどプレミアをつけずに売っている店、提供している店は、だいたいその地域の地酒も大切に扱っていることが多い。特に「純米吟醸」や「大吟醸」の地酒が冷蔵庫に入っている店はかなり信用できる。

 

ちなみにお酒の選び方、飲み方については、自分の中でいくつかルールを持っている。面倒くさいルールかもしれないが、

 

・なるべくその地域の名物・定番の料理や食材も確認しておく
・基本は単独では飲まない(食事と一緒か、「あて」と共に)
・日本酒はできるだけ「純米」系を選ぶ
本醸造など「醸造アルコール」が入っているお酒は基本的に燗で
・ビール系については「発泡酒」「新ジャンル」は飲まない
・焼酎やウイスキーを飲むときにも「あて」を意識する
・ワインは美味しくても、変な酔い方をしたら次回は避ける
※例によって個人の感想です

 

など。「強くない」のには理由があって、なぜか「醸造アルコール」が入ったお酒や「発泡酒」を飲むと、ほぼ確実に悪酔いするから。ただ、「酒精強化ワイン」(シェリー酒やポートワインなど)に関してはわりと大丈夫だったので例外にしている。

 

だいたい自分の体質や経験上の話だけど、この中で一番重要にしているのが一番上の「なるべくその地域の名物・定番の料理や食材も確認しておく」という項目。例えば東北・北陸の雪解けの味がするような酒には日本海の荒波で育った脂の多い魚。内陸や山深いところで造られた酒にはきっと山菜の天ぷらや煮物が合うだろうな…と思って外れたことはほとんどない。

 

もちろんワインもそう。ものすごくざっくり分けるとフランスワインにはチーズやバター、イタリアワインにはオリーブオイル、アルゼンチンワインには牛肉、といった具合。数年前にスペインに行った時に、シェリー酒と「イカ」の相性がこんなにいいのかと驚いた思い出がある。

 

 

飯米衛 うまかった日本酒・焼酎

 

日本酒 (主に特別純米純米吟醸

豊盃(青森)

田酒(青森)

雪の茅舎 (秋田)

出羽鶴 (秋田)

東北泉 (山形)

羽前白梅 (山形)

澤の泉 (宮城)

伯楽星 (宮城)

飛露喜 (福島)

麒麟山 (新潟)

緑川 (新潟)

能登誉 (石川)

早瀬浦 (福井)

鏡山 (埼玉)

神舞 (三重)※

池月 (島根)

東洋美人(山口)

かほり鶴(山口)

しらぎく (高知)

寿喜心 (愛媛)

庭のうぐいす(福岡)

鍋島(佐賀)

 

※「神舞」は元坂酒造が製造の限定ラベルだそうです

 

これはほんの一部で、全体的には東北~北陸の日本海側に好みの酒が集中してしまっている。脂の乗った魚が好きだからというのもあるけど、やはり最初に覚えた日本酒が秋田や新潟の酒だったのが大きい。一番衝撃を受けたのは新潟で飲んだ「純米吟醸の燗酒」。もし地酒が少ない都市部のスーパーで日本酒を買うとしたら、秋田、山形、新潟の1,000円~2,000円くらいの特別純米純米吟醸の酒を買えばほぼ間違いない。米やそばの産地は酒も美味しい。もちろん「十四代(山形)」「久保田(新潟)」「獺祭(山口)」もとても美味しいが、ここは「出会った」喜び優先で。

 

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麒麟純米吟醸 "純辛" 

 

焼酎

特蒸泰明 (麦・大分)

無一物 (麦・長崎)

あさぎりの花 (米・熊本)

武者返し (米・熊本)

千本桜 (芋・宮崎)

六代目百合 (芋・鹿児島)

 

本格焼酎も大好きで、麦・米・芋から特に印象に残っている焼酎を2銘柄ずつ。どちらかというとガツンとした「常圧蒸留」「黒麴」が好みだが、「減圧蒸留」「白麹」も華やかな気持ちになれる。

 

評判の酒をネットで取り寄せるのもいいけど、その地域でいただいた酒に感動した、という思い出を大切にしたい。以前、関口知宏さんが鉄道の旅番組で「”絶景”はその前後で出会いがあったからこそ、その風景が”絶景”になる」というようなことを言っていたが本当にそう思う。そして食や酒との出会いもまた「絶景」である。某バラエティー番組のコーナー「美食・絶景遺産」というフレーズが頭をよぎってしまったが、このタイトルは素晴らしいネーミングだと思う。

 

※リンク先はそれぞれの酒造、組合、またはポータルサイトです。

回転寿司で「地魚」を

「ごちそう」といわれて3つ挙げるとするなら、おそらく多くの人が入れるであろう寿司。私もごくたまに「回らないシース―」を食べに行くときは気合が入る。公演先などで寿司をごちそうになるのは「この仕事やっててよかった!」と心から思う瞬間。

 

ただ私が小さいころ、例えば近所の寿司屋から出前をとっても生魚の握りはあまり食べられず、「梅巻(細巻)」を中心に食べていた。ちなみに「一番好きな寿司は?」と聞かれると、定番の握り寿司や旬の地魚をついイキって答えてしまうが、心の中では、今も「梅巻」が原点。ちなみに今回は「梅巻」について語るわけではない。

 

おそらく昔は子どもが寿司の味を覚えるのは正月や法事での親戚の集まり、というのが多かったと思う。平成以降は寿司といえば「回転寿司」に連れて行ってもらう、というパターンもけっこう多いのではないだろうか。週末になると「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」などの店内外で、自由な雰囲気の子どもたちがはしゃぐ姿を観られるのもおなじみの風景。

 

ちなみに筆者が寿司全般が好きになったきっかけも「回転寿司」。近所にできた「かっぱ寿司」は当時は100円均一でベルトコンベアーではなく「水流」で桶を流すというちょっとゴージャスなスタイル。知っている層には年代がばれます。そもそも「かっぱ」という屋号は「水流」回転寿司という意味で創業者の発案だったそうだし、「特急レーン」も、今や多くの回転寿司店が採用する「タッチパネル」もかっぱ寿司が元祖らしい。

 

※回転寿司の歴史については、Traceのこちらの記事がとても簡潔で分かりやすいです

 

少し時が流れて、「回転寿司」のネタを意識し始めたのが、初めて行った「かっぱ寿司」のすぐ近くにあった「M」という回転寿司店。こちらはチェーン店ではなく、ベテランの職人さんが2~3人いて、回転レーンがなければおそらく普通の寿司屋というか、寿司屋が営業形態を「回転寿司」形態にするのがちょっと流行ったころなので、「M」もその1店だったかもしれない。「三崎直送生まぐろ」を看板メニューに、その日のおすすめメニューがホワイトボードに書かれていた。そして、レギュラーメニューに比べても、おすすめメニューの方が断然鮮度が良くて美味しかった。

 

10代のころは外食に行く機会ができれば2回に1回は「M」に家族で通ったが、しばらくして残念ながら閉店してしまった。大人になり、電車であちこち動いたり車を運転するようになってからは、他の店も開拓しようと時々雑誌で調べた(スマホよりずっと前の時代です)店に行ったが、今でも「M」の思い出が鮮明に残っていて、どんな店に行ってもつい、「M」を基準にしてしまう。

 

今はいわゆる「グルメ系」回転寿司専門に行く機会がほとんど。自分の中で勝手に決めている「良い回転寿司店」の基準は以下の6点。

 

・スタッフ同士の雰囲気が良い (=良い客対応、良い味に反映する)
・ベテランの職人さんが一定数いる (=技術面での安心感がある)
・その地域で水揚げされた魚介のネタが多い (=活きの良い地魚メニューが豊富)
・解凍品でないと思われるネタを多く提供している (=品質管理の信頼性)
・店内のにおいが正常 (⇔水回りの異臭、逆に過剰な消毒感はNG)
・タッチパネル式ではない (=経験上、飯米衛の鉄則)

 

このご時世、衛生的にいろいろ心配な部分もあるが、少なくともこの記事を書いた時点で寿司屋で「クラスター」が発生したというニュースを見たのは1回だけ。もともと食中毒対策が徹底しているというのもあると思うけど、好きだった「あの店」「この店」にまた行けることを心から願っている。

 

飯米衛 うまかった回転寿司 (東日本編)

 

回転寿司を調べて行くときは、まず「本拠地」や「店舗一覧」を確認するのがおすすめ。寿司ネタの傾向も分かるし、限られたエリアにしかない回転寿司店は旬の地魚に出会う絶好のチャンス。最近は東京都心への出店も目立つ。

 

◇北海道 ( )の地名は1号店または本拠  ※都内に出店(2020夏現在)

なごやか亭 (釧路)

花まる (根室) ※

トリトン (北見) ※

函太郎 (函館) ※

魚一心 (札幌)

活一鮮 (札幌)

ちょいす(登別)

とっぴー(札幌) ※

ぱさーる(札幌すすきの)

 

いわずと知れた海鮮王国北海道。いくつかの寿司屋は20代の頃仕事で訪れた際に先輩に連れて行ってもらい、「ご当地回転寿司」に目覚めてしまった。

 

知名度や規模、味の安定感から「北の回転寿司四天王」(筆者が勝手に名付けてすみません)ともいえる「なごやか亭」「花まる」「トリトン」「函太郎」はじめ、道内各地に本拠地を持つ回転寿司店がしのぎを削っている。わりとひらがなの店が多いのも特徴。

 

個人的には「なごやか亭」が第一の選択肢。車でないとアクセスしにくい店が多いが、むしろ経営戦略的には成功しているのかも。ちなみに都内ではないが、なぜか滋賀県内に2店舗ある。

 

◇東北~北陸 ❇︎都内に回転しない出店

うまい一丸鮨(秋田)

清次郎(盛岡)

うまい鮨勘(仙台)❇︎

弁慶佐渡)❇︎

粋鮨(富山)

海天すし(金沢)

 

やはり東北~北陸もレベルが高い。中でも佐渡に本店を持つ「弁慶」は別格だと思う。また、「清次郎」の「八幡平サーモン」は感動もの。宮城発祥の回転寿司といえば「平禄寿司」だがまだ本場の店には行ったことがなく、やはり「うまい鮨勘」が気になってしまう(こちらも回転の方は未経験)。そして新潟・金沢は激戦区と思われ、これから行ってみたい店がたくさんある。

 

◇関東~東海

銚子丸(千葉)

網元 伊豆 (横浜)

魚磯 (静岡 伊豆高原・富士)

大漁亭 (愛知 西尾)

 

関東~東海で「地魚」が美味しいと思ったのはこちら。「銚子丸」はとにかく接客が素晴らしい。回転寿司は1人で訪れるとどうしても孤独に感じることが多いが、最後までしっかりフォローしてくれて嬉しかった。クラシックな割烹風の外観が印象的な横浜の「網元 伊豆」は古き良き時代の寿司屋のような雰囲気で、昼は「にぎりずしランチ」+単品追加がおすすめ。

 

◇関東・番外編

茜屋すしぎん(宇都宮)

がってん寿司(埼玉)

 

「地魚」とは縁遠いはずの海なし県、栃木と埼玉からピックアップ。でも日本地図を大きく広げてみると、海なし県=海から遠いとは限りません。北海道の内陸部よりは近いんです。ちなみに「元気寿司」も宇都宮発祥。「がってん承知!」でおなじみの「がってん寿司」は巨大チェーンひしめく埼玉県でもしっかりと存在感を放っている。調べてみたらなんと回転寿司の祖、大阪・元禄寿司フランチャイズからスタートして、現在は北海道の「函太郎」もグループにしてしまう規模に。

 

◇東京・リーズナブル

もり一(山手線~中央・総武線沿線)

すし台所家(渋谷→三軒茶屋?)

ぎょしん (自由が丘)

 

各地に行くときには「たまの贅沢」という大義名分で行ってしまうグルメ回転寿司。でも時々都心の駅前にある回転寿司で1,000円前後の予算でさっと、という感じで行きたくなる。なにせ寿司はもともと日本が誇るファストフードですから。

 

「もり一」は各店舗「公式サイト」を持たないが、とにかく常連さんの投稿の数がすごい。大人気の神保町店や田端店はもちろん、総武線沿線にもいくつかある。錦糸町の駅ビルにあるお店に行ったところ、やや小ぶりのサイズでネタと赤シャリのバランスがピカイチ。1皿150~180円で江戸前感をたっぷり味わえる。「すし台所家」は学生時代に時々行くのが楽しみだったが、残念ながら渋谷の本店はじめほとんどの店が閉店。「孤独のグルメ」で唯一登場した回転寿司店である三軒茶屋店はなんとか残っていてほしい。

 

すっかり長文に…せっかくだからこの勢いで西日本の回転寿司も書きたいと思っていたけど、まだまとめられるほどには行けていないので、またの機会に。あと写真はあまりうまく撮れていないのでそれぞれの公式サイトをご覧ください。

東の駅そば、西の駅うどん

前の記事で「駅そば」について書いた。関東育ちなのでどちらかというと「そば」びいきではあるが、うどんやラーメンも同じくらい好きで、仕事で中部、関西、中四国、九州に行った時はかなりの割合でそのご当地の麺類を味わってきた。

 

ところで、関東のそば・うどん店のめんつゆは「ざるそば」に最適化された配合であることが多い。薄口の「だし文化」で育った関西の芸人さんが関東で「かえし」のきいたかけうどんを食べてショックを受けて「あんなんうどんやない!」と激高しがちだが、その気持ちは今となっては分かる気がする。逆に私が大阪で「かけそば」を初めて食べた時は「うすっ」やはりカルチャーショックだった。

 

ちなみに東には東のうどん文化があって、東京西部・埼玉・群馬(武蔵野~上州)では冷たいうどんを熱いつけ汁(豚肉、きのこ、なすなど)でいただくのが美味しい。最近はどのメディアでもそれぞれの地域での麺文化が細かく紹介されている。やはり「ケンミンショー」の功績は大きい。

 

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飯米衛 うまかった駅うどん&きしめん他 

 

さて、最近は電車より車で移動することが多く、西日本の「駅うどん」や名古屋駅の「きしめん」を食べに行く機会はかなり貴重。東日本の「駅そば」と比較できるほど数を食べていないけど、ターミナル駅以外の私鉄の駅など、機会があればなるべく足を運んでみたい。

 

浪花そば(新大阪駅)

在来線コンコースの「エキマルシェ」の一番奥にある店。新幹線からは一番遠い場所にあるが、待ち時間が確保できるときはなるべく行く。牛肉と天かすがたっぷり入った「浪花スペシャル」がプロレス技並みの破壊力。

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浪花スペシャル(大盛り)

 

 

ふるいち岡山駅新幹線ホーム店)

「ぶ」の看板が真っ先に目に入る倉敷ぶっかけうどん。新幹線岡山駅の上りホームでも味わうことができる。ぶっかけうどんの存在はセルフの讃岐うどん店で初めて知る場合が多いと思うが倉敷が発祥らしい。甘辛いタレと天かすの組み合わせは温・冷ともにクセになる。汁が少ないという特徴を生かして車内持ち込み可。

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 ぶっかけうどん

 

住よし&グルめん名古屋駅

名古屋駅めんの超定番、JR名古屋駅のホームにある「きしめん」。新幹線だけでも2つのホームのそれぞれ両サイドに4店舗ある。現在ほぼ「住よし」系列でジャパン・トラヴェル・サービスの運営だが、16・17番線(下り新大阪方面)の東京側「グルめん」のみジェイアール東海運営。新幹線に乗るときに自由席側の「住よし」がものすごく混んでいたのでわざわざ反対側にホームをひたすら歩いて東京側の「グルめん」まで食べに行ったのも懐かしい思い出。これから新幹線に乗るのに、わざわざ在来線のホームまで食べに行く「つわもの」もいるらしい。

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ホームうどん店(博多・小倉)

ご当地グルメの宝庫、福岡へJR移動の際には「ホームうどん店」へ。ごぼう天、丸天、かしわ(鶏肉)などのトッピングに迷う。だしに溶け込むほどに柔らかい博多うどんは長距離移動でつかれた体の味方。

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博多駅在来線ホーム

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番外編:ぷらっとラーメン

博多駅小倉駅のホームで朝からとんこつラーメン(!)が食べられる「ぷらっとラーメン」。隣のホームの「ホームうどん店」とともにJR九州フードサービスの運営。並んでいるのをみると、ちょっとうらやましい。チェーンの味といってもかなりの本格派。調理の店員さんが地元の味を知っているかどうかはかなり大事なポイント。極細麺で注文から提供までがすぐなので、実は駅向きのラーメンなのかもしれない。思えば関東では減り続けている「東京しょうゆ」も、駅のホームではしっかり生き残っている。(東武スカイツリーラインの西新井&春日部、JR東日本フーズ系そば店の一部など)

 

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番外編:門左衛門 麺・串(京都駅 ※閉店)

昔、関西出身の先輩に連れて行ってもらった京都駅の在来線改札内の「麺・串」が、関西の「駅うどん」との出会い。それぞれのご当地の駅メンへの関心が一気に広がるきっかけになった。関西のだし文化が凝縮されたつゆ、柔らかめのうどんがやさしい。ちなみにこの日以来、関西で駅うどんを食べるときは味付けなしの油揚げが入った「きざみうどん」を基準にしている。現在は残念ながら閉店してしまったが、同名の店が「そば店」として羽田空港にある。

 

※追記

同じ運営会社の系列うどん屋「つくもうどん」が現在展開中。京都駅構内では東側の地下改札外に「塩小路本店」があり、先日訪れることができた。さすがの美味さにしみじみ。

 

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つくもうどん塩小路本店

 

番外編: 亀城庵坂出駅 ※現在は閉店)

電車でのアクセスは意外と難易度が高い香川の本場・讃岐うどん。貴重な駅構内の店でとても美味だったが残念ながら今は閉店してしまい製麺の販売のみとなっている。通販ページは魅力的。

 

 

元祖・駅ナカグルメ 駅そば

これまで仕事などで都市部はもちろん全国各地に行ってはご当地の名物料理や食材たちを味わってきたが、おそらく学生時代から数えるとこれまで断トツに回数が多いのは駅で食べる「駅そば」である。

小腹がすいたとき、長時間の移動で昼食などをゆっくりとれないとき、麺類が欲しいけど駅前のラーメン屋はきっと行列だろうな…と思ったときは駅そばと決めている。最近は関東でも駅構内の讃岐うどんの店が増えてきたけど、生まれも育ちも関東の筆者としてはつい「立ち食いそば」基準で考えてしまう。

 

待ち時間を利用して、時には次に乗る電車を一本ずらして、駅のホームや改札口周辺の店に飛び込む。経験上、店に入った時の香りや雰囲気で、おいしい店がどうかはなんとなく分かる。ベテランのおっちゃんかおばちゃんが仕切っている店はやっぱり安心感がある。

そばやうどんを持ち上げたとき、器からたちのぼるだしの香り、店内のあちこちから聞こえるすする音も慣れれば楽しい。がっつりいきたいときは大盛りにするなり丼セットを頼むのもいいね。ちなみに関東は基本的につゆが濃く、ざるそばに最適化された配合なので、温かい麺には、かき揚げなどのトッピング推奨、冷たい麺は「全つけ」でなく、箸で持ちあげたそばの3割ほど浸してすするのがおすすめ。関東以外の地域は全つけでむしろちょうど良いかも。

 

今は都市部や近郊でも「駅ナカ」グルメが充実しているけど、明治時代からあったといわれる駅そば。最古は明治時代の横浜駅(現・桜木町駅)とも、軽井沢駅、横川駅とも、諸説あり。最近は座れる店も多くなって女性でも入りやすく、交通系電子マネーで決済できるし便利だけど、「○○そばの方~」と呼ばれて取りに行き、心の中で「いただきます」。空いた器を下げに行って「ごちそうさまでした!」「はーいありがとうございます!」このやり取りはずっと駅の原風景であってほしい。

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飯米衛「うまかった駅そば」※駅構内の店のみ掲載

 

文殊(もんじゅ)

個人的にイチオシのそば店。だしと麺のバランスがすばらしい。冬が旬の名物「岩のりそば」がおすすめ。両国に本店を構え、都営新宿線東武東上線沿線に店舗が多い。東日本橋駅馬喰横山駅の地下通路を通るときは寄ってしまう。

 

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しぶそば(東急)箱根そば(小田急)

首都圏の各鉄道会社が運営しているそば屋は多いが、私鉄では東急「しぶそば」、小田急の「箱根そば」が好み。

おしゃれな店が立ち並ぶイメージが強い東急エリアの駅ナカの一番いい立地がそば屋というのも興味深い。現在はほぼ椅子席だが渋谷の「本家しぶそば」には立ち食いカウンターが残っている(残念ながら渋谷駅再開発のため9/13閉店)。

「箱そば」の愛称で親しまれている「箱根そば」は、小田急の駅によっては2店舗ずつあり(新宿・新百合ヶ丘・町田・海老名)、小田急レストランシステムのホームページの一覧でも「箱根そば」が単独でトップに載っているという力の入れっぷり。

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しぶそば&箱根そば

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吉利庵

品川駅構内の歴史ある駅そば常盤軒がリニューアルしたのが「きちりあん」。駅そばはもともと量がやや少なめだが、この店の「大盛り」は別格。かき揚げの大きさとの比較。単価が高めでもそれ以上にまんぷく、まんぞく。

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      吉利庵 冷やしかき揚げ(大盛)

 

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JR東日本フーズ

車内販売でおなじみ、NRE日本レストランエンタプライズ)改め「JR東日本フーズ」運営のそば屋。比較的新しい形態の「そばいち」や「いろり庵きらく」は、かつおだしの香りが印象的で店内も居心地が良い。路線ごとに味わいもいろいろの「駅そば」(大江戸、濱そば、あじさい茶屋中山道野州そばなど)はみんなのソウルフード

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立ちそば処 杜

首都圏以外で一番印象に残る駅そばは仙台駅の在来線改札口付近の「立ちそば 杜」。帰りの新幹線に乗る前は「牛たん通り」「すし通り」派よりは「立ちそば 杜」派(そもそもいるのかな…)。香ばしい海老が乗った「上かき揚げそば」が絶品。改札の外からも中からも入れて。店名の通り、リニューアルオープン後も立ち席のみというストロングスタイル。

 

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         立ちそば 杜

 

駅構内のうどん、ラーメンなどはまた別の記事で紹介したい。